自然素材である木材は、湿度が高い時には湿気を吸い込み、乾燥している時には湿気を吐き出して周囲の湿度を調整する「調湿作用」を持っています。
木の家が暮らしやすいと言われる理由の一つではありますが、この作用に伴う木の収縮・膨張によって起きる反り(木の曲がり)は、
「木が反る、と書いて『板』と読む」といわれるほどに、木材を使用する上で付き物の現象です。
上手く付き合っていく必要がある木の反りについて、反りが起こる理由と対処法を、こちらのページではご説明していきます。
木材が反る理由
まず最初に…木の持つ調湿作用と木の収縮について
木を建物に使うメリットとして挙げられることの多い、「湿度が高い時には湿気を吸い、乾燥している時には湿気を吐き出す」という木の調湿作用。
調湿時には、木の形状も「湿気を吸う時には膨らみ、湿気を吐き出す際には縮む」というように変化しています。
そのため、同じ木であっても、湿度の高い夏と乾燥した冬では、形状が微妙に異なります。
周囲の湿度に応じて、収縮と膨張を繰り返し続けるのが木の特性。
そして、この特性によって引き起こされるのが、木の反りです。
なぜ収縮によって木が反るのか
自然素材である木材は、同じ板の中でも木目の方向や場所によって細胞の性質が異なります。
膨張・収縮率はそれぞれ異なっており、この細胞の性質の異なりが、収縮によって木の反りが起きる原因です。
木の場所による収縮率の違いと反り方
木の収縮率は、以下の3つの方向のどこに面があるかによって異なります。
1、垂直方向(木の繊維に沿う方向)
2、接線方向(年輪に沿うようにして、年輪と接する方向)
3、放射方向(年輪と垂直に交わる方向)
この3つの方向の収縮率の比率は、平均的に「垂直方向:接線方向:放射方向=1:10:5」となっています。
そのため、上の板で収縮が起きた時、垂直方向(長さ)ではほとんど収縮が起きませんが、接線方向(木表側の幅)では垂直方向(長さ)の10倍の収縮が起き、
放射方向(木裏側の幅)では、接線方向の半分程度の収縮が起きることになります。
木材の1%収縮とフローリング・羽目板の隙間について
乾燥時に木材が収縮する目安は、幅の約1%といわれています。
そのため、仮に110mm幅のフローリングが縮んだ場合、1枚あたりの縮み幅は1.1mm。
フローリングとフローリングの間には、2.2mm程の隙間が生じる可能性があります。
縮み幅の大きさは板本体の幅の大きさに比例するため、150mm幅などの幅広のフローリングの場合は、
1枚あたり1.5mm収縮することにより、フローリングの間に3mmの隙間が生じる場合があります。
長さがあり、幅が広い板ほど反りが出やすい傾向がありますので、
150mm幅のフローリング、特に長さが4mのものを使用される際には、くれぐれもご留意ください。
板目と柾目の反りの違い
板目材の場合は、木の芯に近い放射方向が木裏、芯から遠い接線方向が木表となる関係で、上の図のような反りが生じやすくなっています。
ただし、建具で使われることの多い柾目材の場合は、少し事情が異なります。
一般的な板(板目材)の反りは、木表と木裏の収縮率の違いによって発生します。
しかし、柾目材では、木表と木裏の芯からの距離は等しく、収縮率も同じになるため、板目材に比べて反りが生じにくくなっています。
このことが、扉をはじめとした建具の材料として、柾目材が多く用いられる理由の一つです。
とはいえ、柾目材は板目材に比べ、一本の丸太から取れる量が非常に少ないため、高価な材料となっています。
用途や予算に応じて、板目材と柾目材を使い分けることが大切です。
反りを避けるために
当社では完全受注生産を行っており、反りの出ていない最良の状態で製品を出荷しております。
しかし、到着後の保管方法によっては反りが出てしまうこともないとはいえません。
なるべく反りの無い状態でお使いいただけるよう、以下の内容をご案内いたします。
到着後の保管方法
反りを出さないためには、到着後なるべく速やかにご使用いただくことが一番です。
しかし、どうしてもすぐに施工できない場合には、以下の保管方法をおすすめしております。
1、風雨の当たる場所や直射日光の当たる場所を避けて保管する。
2、室内に保管する。
3、重ねた状態で、紐やラップタイプのテープなどでしっかり縛って固定した上で保管する。
ただし、この保管方法でも絶対に反りが出ないとは断言できませんので、くれぐれも到着後は早めの施工をお願いいたします。
板の反りの直し方
板が反ってしまった場合、以下の方法で戻せることもあります。
板を逆さにして様子を見る
◆ 凹んだ面を下向きにして、しばらく置いておく。
◆ 凹んだ面だけラップで覆い、下向きにして数日置いておく。
◆ 凹んだ面に霧吹きで軽く水を吹きかけ、数日置いておく。(注意:木肌はけば立ちます)
※桟木の上に反った木材を置いて、風通しの良い室内か屋外で行ってください。
荷重をかける
反った板と同じ大きさの板を用意し、その上に反った板を載せる。
さらに重たい板を重ねて荷重をかけ、強制的に反りを直す。
※上記はあくまでも例であり、必ずしも反りが直るとは限らず、作業により材が破損する可能性もございます。
その場合も当社では責任を負いかねますので、ご了承のほどお願いいたします。
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