《目次》
1、木材の等級について
2、節を基準にした等級の定め方
3、柱材・造作材の等級
4、フローリングと羽目板の等級
5、まとめ
木材の金額は、樹種、等級(グレード)、サイズ、部位、産地、希少性など、様々な要素によって決められます。
吉野桧・吉野杉はすべて奈良県吉野産ですが、等級とサイズ、部位によって、その金額はばらばらです。
同じサイズと部位であっても、等級によって金額は大きく変わるため、予算や使用する場所・方法などに応じた等級の木材を選ぶことが大切です。
吉野の桧・杉の等級は、主に 「節」の数と大きさ によって決められています。
これは基本的に、フローリングや羽目板といった内装用の板材、巾木や廻縁などの造作材、構造材や化粧柱といった柱材など、全ての部材共通の考え方です。
等級を決める基本となるのは、フローリング、羽目板、柱等の部材に入る節の大きさや数です。
節が全くない「無節・節なし」が最上級品となり、節のサイズが大きく、数が増えるほど、等級は下がっていきます。
等級 | イメージ | 内容 |
---|---|---|
無節 (節なし) |
節が1個も無い無地の木です。 無節(むふし)の木は、節の元となる枝を切り落として育てる必要があるため、人の手が非常にかかった木材です。 昔から高級材として珍重され、節を基準とした等級付けでは、最も上の等級として扱われます。 仏間や応接間、玄関など、人の目が多く触れたり、建物の中でも格上とされる場所で長く使用されてきました。 また、節が無いために節あり材より強度が高く、水にも強いとされています。 | |
上小節 | 無節の次に高級とされるのが、上小節(じょうこぶし)と呼ばれる小さな生き節です。 直径6mmくらいまでの小さな生き節が入ります。 (生き節とは、枝が成長過程で木に巻き込まれ、幹の組織としっかり結合した節です) 予算や格の理由から無節を使うほどではないものの、無節に近い見た目を求める場合によく用いられます。 | |
小節 | 小節(こぶし)と呼ばれる、直径20mmくらいまでの生き節・詰節が入る等級です。 小節の詰節は、死に節・抜け節だった節の部分に機械で穴を開け、穴と同じ大きさの「埋め木」という木のパーツをはめて補修したものです。 もし補修をしなかった場合、死に節・抜け節の部分の見た目が汚いだけでなく、木本体から外れてしまった節が落ちてしまう可能性があるからです。 枝打ちを行う吉野林業では無節を取りやすい反面、枝打ちに間に合わず木が内側に取り込んでしまった枝が、死に節・抜け節となってしまうため、無節・上小節以外の等級では、このような詰め節の作業が必須となっています。 | |
節あり | 一番下の等級が、節あり(一等)と呼ばれる等級です。 小節同様に埋め木が行われますが、小節より大きな生き節や詰め節が多数存在します。 等級としては最も低いものですが、目に見えない場所に使う構造材や下地材、ウォークインクローゼット、子供部屋などでよく使用されます。 |
上記が、木材の等級を決める際の基本となる内容です。
これをベースとした上で、部材によって等級のつけ方や表記方法はそれぞれ異なります。
フローリングや羽目板といった内装用の板材、巾木や廻縁などの造作材、構造材や化粧柱といった柱材の主な3つの部材の等級について、これから説明していきます。
等級 | 無節・節なし | 上小節 | 小節 | 化粧一等 | 節あり・一等 |
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イメージ | |||||
節の大きさ | ─ | 直径 約6mm | 直径 約20mm | 大小 様々 | 大小 様々 |
節の数 | なし | 2mあたり1個 |
2mあたり1個 | 多数 | 多数 |
埋木の有無 | なし | なし (生き節のみ) |
あり (生き節・詰節) |
あり (生き節・詰節) |
なし |
節の欠け・割れ | なし | なし | なし | なし | あり |
柱材・造作材の等級の表記について
4つの面(木口側を除く)を持つ柱材では、それぞれの面にある節の状態で等級を定めます。
最上級は、全ての面に節の無い「四面無節」。
最も下の等級が、全ての面に大きな節の入った「四面節あり」です。
無節や上小節の面を含む柱は、それらの面が人目に触れる面(=化粧面)であることを前提にして使うものが一般的で、「化粧柱」と呼ばれます。
化粧柱は、人目に触れる面の数に応じて、「三面無節」「二面無節・一面上小節」「四面上小節」など、様々な等級が存在します。
「四面節あり(節材)」は、目につかない場所に使う構造材として主に使用されます。
柱材・造作材の等級の指定方法(一例)
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化粧面の等級の指定方法(一例)
一面と散り
面全体でなく、散り(角の両面部分)を化粧面として、等級を指定する場合があります。和室の真壁(しんかべ)に用いる際は、一面とチリ部分が表に出るため、上の図のような指定の仕方になります。
散り
面には等級を指定せず、散り(角の両面部分)にのみ等級を指定することもあります。柱の面全体は表に出ず、散り部分のみ見える場合に用います。
ご注文時は散りの幅をご指定ください。
厚みの無い造作材の等級は、「無節」と「無節特選上小節込」の2種類のみです。
造作材は薄く細いものが多いため、小節以上の大きさの節が入った木を材料として加工した際に、節の部分が砕けたり折れたりしてしまいます。
また、埋め木の厚みより造作材の厚みの法が薄いため、詰節をすることもできません。
そのため、造作材に用いる材料の等級は、無節と無節特選上小節のみとなっております。
オーダーメイドの造作材をご注文の際も、使用できる等級は上記のみとなっておりますので、ご注意ください。
※無塗装品の仕上げは、超仕上げとサンダー仕上げからお選びいただけます。
塗装品の場合は、超仕上げでは塗りにムラが出てしまうため、サンダー仕上げとなっております。
※造作材の裏面はプレナー仕上げです。
無節
節が全く無い、最上級品です。無節特選上小節込
基本は無節ですが、直径6mmくらいまでの生き節が稀に入ることがあります。フローリングと羽目板の等級は、木表側の一面の節の大小・数によって定められます。
等級を判断する基準となる面は木表側のみで、木裏側は対象になりません。
木表については、抜け節・欠け節等は詰め節を用いて補修を行い、サンドペーパーで磨いて仕上げます(サンダー仕上げ)。
木裏の補修は基本的には行わず、刃物跡が残ったプレナー仕上げで最終となります。
フローリングや羽目板では、人目に触れる面(化粧面)に木表を用いるため、木裏は完全に隠れてしまうためです。。
木表(きおもて)とは
木表とは、切り出した木材のうち、丸太の皮に近い外側の面のこと。
フローリング・羽目板などで、人の足や手など肌に触れる面です。
フローリング・羽目板では、この木表側に表れる節や木目の状態で等級を定めます。
木裏(きうら)とは
木裏とは、切り出した木材のうち、丸太の中心・芯に近い内側の面のこと。
木裏は木目がめくれ上がるため、フローリングや羽目板の表面に用いた場合、怪我につながりかねません。
人の肌が直接触れる部材では、必ず木表側を表にして使う必要があります。
埋木(詰め節)とは
「埋木(うめき)」とは、欠け節・抜け節等の部分に丸く穴を空け、詰め節で塞いだ状態です。
詰め節とは、桧の枝を材料とし、厚み8mmに加工した埋木用の部品です。
桧板の埋木にはそのまま、杉板の埋木には赤く染めた詰め節を使用しています。
埋木は厚みが8mmのため、埋木を使用する「上小節~小節」「節あり」の等級では9mm厚の羽目板を製作することはできません。
フローリングの等級
等級 | 無節・節なし | 特選上小節 | 上小節~小節 | 節あり |
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イメージ | ||||
節の大きさ | ─ | 直径 約6mmまで | 直径 約20mmまで | 大小 様々 |
節の数 | なし | 2mあたり1個 | 2mあたり1個 | 多数 |
埋木の有無 | なし | なし | あり | あり |
フローリング | 無節 | 特上小 | 上小~小節 | 節あり |
羽目板の等級
以上が、節の大きさや数による当社製品の等級づけに関する大まかな説明になります。
他にも木目の形(板目と柾目)、杉の場合は赤みや白、源平などの色味の違いなど、木材の価格は様々な要素によって変わってきます。
寸法に関しては、厚く広く長くなるほど価格は上がり、特に無垢の幅広板は大径木からしか取れない希少品のため、大変高価になる場合があります。
ご希望の樹種・寸法・等級・用途などをお伝えくださいましたら、当社にてお見積りさせていただきます。
また、ご予算がお決まりの場合は、ご予算と用途に合わせた内容を当社からご提案させていただくことも可能です。
まずはお気軽にお問い合わせくださいませ。
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